• 検索結果がありません。

2005年度(平成17年度) | 資料集 | 大分県産業科学技術センター

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2018

シェア "2005年度(平成17年度) | 資料集 | 大分県産業科学技術センター"

Copied!
4
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

伝統的生活関連産業のブランディング技術とプロモーション手法の分析および活用研究

濱名直美・豊田修身

大分県竹工芸・訓練支援センター

Analysis and practical use research of the branding technology of a traditional lifestyle

correlative industry, and the promotion technique

Naomi HAMANA・Osami TOYODA

Oita Prefectural Bamboo Craft and Training Support Center

要 旨

17年度より地元竹製品業界が取り組んでいる海外展開研究会への対応の為,海外インテリア・消費財市場を対象と したプロモーション手法を研究し,海外視察をコーディネイトしてその効果の検証に取組んだ.また「ヒット商品の 創出研究」の補完として,意匠開発品を産地技術者や地元観光関連団体との協働で,体験型の観光商品としての開発 の可能性を検証する為に,別府竹細工の技術ブランドの活用領域を拡げるプロモーション試験を行なった.さらに伝 統的文化的生活関連産業の今後の新規市場展開や研究開発へと役立てられる技術ブランディングの検証に取組んだ. 結果,多様な市場ニーズにも柔軟に対応できる即応的な意匠開発の基とも成る技術ブランド形成の方向性を掴んだ.

1. はじめに

近年,将来の産業動向の展望と消費者市場において, 日本固有の伝統や文化要素を用いて付加価値を高めよう とする社会的情勢の後押しもあって,工芸などの伝統的文 化的生活関連産業に対する期待は拡大している.

一方,国内の伝統工芸産地では,行き詰まりを見せる 既存市場から新たな展開を図るために,国内のみならず, 海外の市場に向けての新たなブランディング技術を必要と している.別府竹製品業界でも「どんな手法で新しい市 場を開拓するのか?」「どのような方針で産地をアピー ルしていくか?」というブランドマネジメント(=ブラ ンディング技術)の課題を抱えている.

これを解決するため,産地技術の地域的歴史的な独自 性の分析と新規市場開拓に向けてのプロモーション手法 の検証に取組んだ.

2. 方法

まず一つは,地元竹製品業界(別府竹製品協同組合の 別府竹製品海外展開研究会)が取り組む海外展開事業の ブランドビジョン構築を支援しながら,研究会が行なう 海外視察と連携して,別府竹細工の技術力のプロモー ション手法の研究に取組んだ.欧州のインテリア・消費 財市場においては馴染みの薄い「竹」素材とその技術力 の情報発信を,日本の伝統文化としての在り方も念頭 に,どの様な切り口で展開する可能性があるかの検証を 試みた.

欧州3カ国(独,英,仏)における「竹」素材と技 術の評価を収集するため,JETRO大分と協力して,現 地事業所へ既存の別府竹製品を送り,イメージ調査を実 施した(Fig. 1).またJETRO事業を活用して,イタリ ア在住経験のある外部アドバイザーを招聘し,海外展開 に向けた開発や販売条件の設定等を情報収集した.こ れらから「竹」素材と技術をアピールする要素を抽出し た結果,海外における別府竹細工の「技術的にも文化 的にも付加価値の高いブランド化」の方向性を導い た.これに基づいたプロモーション手法として,現地デ ザイナー等との面談をコーディネイト(Fig. 2), JETRO大分と共に研究会が行なう海外視察に同行し, ギャラリー等の施設の他,ドイツの消費財見本市で国際 ビジネス展開を図っている日本の伝統的産地の現状を調 査した(Fig. 3).また,海外視察に備え,海外展開事 業のブランドビジョン構築の基礎として,Webや紙媒体

(2)

を使った情報発信に取り組み,海外向けの研究会サイト の立ち上げと,網代編みケース入りのカタログカードの 製作を,ブ ラ ン ディ ング 技 術 の 手 法 研 究 と して プ ロ デュースした(Fig. 4).

一方,「ヒット商品の創出研究」の補完として,体験 型観光商品としての竹製品開発の可能性の検証に取組ん だ.「竹」素材と技術の地域的な特徴によるアピールと アプローチにより活用の機会を拡げるため,別府の体験 型観光のブランドイメージに沿った継続的なプロモー ション提案と,以下の開発商品を応用し観光商品として 定着させる手法の実験を行なった.

1)音楽祭をモチーフに音に因んで「iPodケース(16年 度研究で取組んだ小振りな開発品)」

2)滞在型体験型観光事業の中から,ソムリエによるワ インセミナーに的を絞り「ワインパニエ」

3)市内多数の温泉を温泉修行になぞらえて,時間と共 に色が変化する青竹を用いた「湯かご」

3. 結果

3.1 海外の市場へ展開する伝統工芸の技術

欧州3カ国における別府竹製品の調査,及び海外視 察調査により「竹」素材と技術に対する多層的なニーズ を集めた結果,産業全体としても,また個々の技術者と しても,様々な製品ブランドの開発の機会があることが 分かった.具体的には,画廊やアート系ギャラリーの展 示での伝統的技術のアピール,欧州では普及していない 「竹」素材活用と技術応用に興味を示すプロダクトデザ イナーとの共同開発等の機会である.

視察訪問に備えて準備した情報発信については,商品 カタログを送付した某海外企業では,カタログの質感 が受け社内回覧された.そしてプロモーションディスプ レイの空間デザインの研究に役立ててほしいとのこと で,現地訪問時にショールーム内の積極的な公開と協力 を引き出すことができた.

また,具体的な商品開発プランの第一弾として,ミラ ノ在住のバッグデザイナー林ヒロ子氏からアプローチが あり,竹素材を用いたミックスドメディアなバッグの開

Fig. 4 プロデュースしたサイト,編組ケース入り商品カタログ

ミ ラ ノ

面談したデザイナー・バイヤー・クリエイター

村山裕子氏,Mr. Emanuele Ricchi ,林ヒロ子氏,

Mr. Ventura Brauno(URUSHI),新江憲一氏(大阪料理長), 栗原和美氏( ARTE GIAPPONE),深澤直人氏

調査した場所

ARMANI CASA, Da Driade,Spazic Rossana Orland, Triennale(Palazzo dell s Arte),URUSHI,HIGH TECH, 大阪,ARTE GIAPPONE,Corso Como 10,CASSINA, B&B

パ リ

面談したデザイナー・バイヤー・クリエイター

Ms. Marie Precheur, 加藤淳好氏(パリ高島屋店長)

調査した場所

プランタンパリ高島屋, KAZE,IKAT,KIMONOYA,SENTOU, Culture Japan(パリ日本文化会館内)

フ ラ ン ク フ ル ト

面談したデザイナー・バイヤー・クリエイター

Ms. Noguchi Keiko,Mr.H.R.Diez Gmbh(Kyo-ko), 木村浩一郎氏, 吉松氏( KYOTO JAPAN ART DECO), 鷲尾氏,香取氏,増田尚紀氏,Ms. Susanna Wellenberg,

調査した場所

フランクフルトメッセ

Fig. 3 視察における現地面談者及び調査先

(3)

発がスタートしている(Fig. 5).

このようにプロモーション手法の研究で海外アプロー チを支援した結果,海外展開研究会の今後の活動計画 に弾みをつけることが出来た.

3.2 地域観光の中の伝統工芸技術の活用

別府の体験型観光のブランドイメージに沿った産地技 術のプロモーション手法の分析では,単体の商品を観光 産品として扱うのではなく,体験型観光プログラムに組 み込むことによる付加価値の創出の取組みを行なった。 結果,観光市場と別府竹細工をつなげる技術ブランドと して,地域的な特徴と文化的な人的交流を生み出すプロ モーションスタイルであれば,別府観光に相応しいと分 かった.例えば,ヒット商品創出研究における開発商品 「湯かご」は,温泉巡りの体験型観光のブランドイメー ジに沿ったブランディング手法で促進することで,開発案 だけでなく,別府温泉の特徴を表す道具として付加価値 を高めることができる.さらに一つの仕掛けとして,ブ ランドのネーミングやタグに関するアイデアも得る事がで きた.また2期目モニタリングアイテム「ワインパニエ」 は,実際の体験型観光プログラムに参加することによっ て,ガイドブック等でのアピール性を活用し,観光地にあ りがちな物産的商品ではなく,観光ブランドに裏付けら れたストーリー性を持つことで相乗的なプロモーション 手法の効果も上がった(Fig. 6).

4. 考察

海外展開を目的とした地元竹製品業界(別府竹製品協 同組合の別府竹製品海外展開研究会)の活動に於けるプ ロモーション手法の試みでは,対ビジネス向けの需要の 掘り起こしを推進していけば,別府竹細工技術の活用の 機会は得られることが実証された.プロダクトデザイ ナーが商品展開の可能性を検討する時には,時代の社会 的な要求も影響して,素材の特性の背景にあるものにも 注目するという事である.従来認識していた「竹」とい う素材が,産地の技術者や多様な加工技術によって,こ れまでとは異なる創造の可能性に結びつくと認識した 時,その開発領域の広がりを実感することが出来た.

また一般化していない竹製品の,商品イメージを持た ない海外の消費者にとって,別府竹細工と類似品との違 いを明確に区別できる機会は多くはない.しかし産地の 背景と多様な技術力の見せ方(表現の在り方)を工夫す れば,別府竹細工の技術を容易に理解させられるプロ モーションが出来るということが分かった。

一方,竹製品を体験型観光商品として定着させる3つ の検証では,産地別府の観光の中に地域を表す物とし て,観光産業が行なうイベントや事業のブランドイメー ジに沿った意匠の提示が,相乗的な効果を上げ,付加価 値の創出を促し,商品要素や道具としての可能性が引き 出されることが分かった。竹細工の技術力は,商品単体 ではイメージしにくいが,体験と組み合わせたストー リー(行為を促す情報)によって明確にできる.

以上のことから,地元や海外の市場にも技術力をプ ロ モ ー シ ョ ン す る 効 果 的 な ア プ ロ ー チ を す れ ば , 「竹」素材の持つロハス的なイメージ特性と,地域的伝 統的に育まれた技術の集積を基に,竹製品の商品化や技 術ブランドのビジネスモデルとしての可能性が確実に広 がるということが確認できた.

5. 今後の展開

地域的伝統的特徴を持った「竹」素材と技術のブラン ディング手法の研究は,地域経済のみならず地域文化に於 いても重要性が高く,引き続き取り組まなければならな いテーマである.積極的なアピールを行なえば,あらゆ るものがブランディングの対象と成り得るが,今後も海 外展開研究会の支援と,体験型観光商品の創出による別 府竹細工の技術ブランドの確立に的を絞り,対ビジネス においてのプロモーション手法などの検証を行う必要が ある.

また,意匠開発プロセスとブランド戦略の確立は,密 接にリンクしており片方だけでは成立しない.当研究で の今後の展開は,18年度の「ヒット商品の創出研究」の

Fig. 6 地元観光産業を対象とした竹製品のニーズ開拓 Fig. 5 ミラノより開発打合せに訪れたバッグデザイナー

(4)

中の2年目のテーマ「マーケティング手法による開発プロ セスと技術ブランド定着化フォローアップ手法の確立の 研究」において,プロモーション手法の展開と検証に取 り組む事とする.

その目的を達成するプロセスの一つとして,17年度実 施した海外視察の成果をWebでの情報発信に取り込む手 法の実験を行い,別府竹細工の技術ブランドのプロモー ション効果の検証と,ブランド戦略の確立を行う.そし て,産地技術を必要とする異分野との関係を築くため, また高度化・専門化する社会ニーズに対応するため,こ れらのプロセス研究を通して技術領域の情報化に取組 み,別府竹細工らしさを際立てる技術ブランディングの 手法研究に発展させる.

謝 辞

Fig. 3 視察における現地面談者及び調査先

参照

関連したドキュメント

「技術力」と「人間力」を兼ね備えた人材育成に注力し、専門知識や技術の教育によりファシリ

注)○のあるものを使用すること。

2020年 2月 3日 国立大学法人長岡技術科学大学と、 防災・減災に関する共同研究プロジェクトの 設立に向けた包括連携協定を締結. 2020年

島根県農業技術センター 技術普及部 農産技術普及グループ 島根県農業技術センター 技術普及部 野菜技術普及グループ 島根県農業技術センター 技術普及部

人間は科学技術を発達させ、より大きな力を獲得してきました。しかし、現代の科学技術によっても、自然の世界は人間にとって未知なことが

(1)  研究課題に関して、 資料を収集し、 実験、 測定、 調査、 実践を行い、 分析する能力を身につけて いる.

世界の新造船市場における「量」を評価すれば、 2005 年の竣工量において欧州 (CESA: 欧州造船 協議会のメンバー国 ) は CGT ベースで 13% 、 2006 年においては

平成 24 年度から平成 26 年度の年平均の原価は、経営合理化の実施により 2,785